2019/05/15

第29回 2019/4/27.28 イクサポワークショップのご報告です。

先月4月27、28日にご支援いただいております『イクサポ project』にて福島県の南相馬へワークショップ「縄文の漆の糸玉」を開催して来ました。
会場は南相馬市立中央図書館でした。中央図書館は南相馬の被災した市民の皆さんの癒しの場として存在し続けています。そのような場とのご縁で、今回もワークショップの開催となりました。

今回も図書館のスタッフさんが素敵なポスターを制作してくれました。

今回のワークショップ「縄文の漆の糸玉」は文字通り、漆を使って行われました。
漆の糸玉とは縄文時代に作られたと言われるもので、福島県大沼郡三島町の荒屋敷遺跡から発掘されたそうです。その糸玉を現代に再現するというコンセプトで、かつて縄文人が漆の持つ不思議な力を信じた様に、願い事を書いて糸玉に納めました。

小さなお子さまが飛び入り参加で、無心で糸玉を作ってくれました。

元福島県立博物館の森先生の縄文時代の漆についてのレクチャー。

何をお願いしようか。。。悩む参加者の皆さん。


漆はかぶれるということもあり、参加者の皆さんのみならず、メンバー一同も完全防備でのぞみました。にも拘らず、一度かぶれてみたいので漆をちょっと付けて欲しいという方もいたりと、参加して頂いた皆さんの漆に対する思いが溢れたワークショップとなりました。
被災から8年、参加者の皆さんは糸玉にどんな願いを込めたのでしょうか。。。
願いを込めた、赤漆の糸玉。
乾燥キットでお持ち帰りしていただきます。

今回のイクサポ ではワークショップ終了後に、縄文時代の漆についてのレクチャーをして頂いた、元福島県立博物館の森先生が神主を務める南相馬市鹿島区の山田神社を訪問させて頂きました。

山田神社の復興には
熊本県人吉市の球磨工高校が関わっています。今回、熊本出身のメンバーが参加していて、その場にいることのご縁を強く感じていたことと思います。また、神社にある球磨工高校が寄贈した仮社殿には芸大の先輩、日比野克彦さんのアートプロジェクトの作品、ハートマークビューイングが社殿幕として奉納されているというご縁もありました。

山田神社の高台からの景色には去年は見れなかった、松の苗が植樹されている景色が広がっていました。思わず何十年後の立派な松林の姿を想像せずにはいられませんでした。



山田神社

山田神社からの風景。


球磨工高校が寄贈した社殿の幕として奉納された
日比野先輩のハートマークビューイング。

山田神社の御朱印を頂きました。


その後国道6号線を南に下り、福島県双葉郡楢葉町にある「 Jヴィレッジ」に行きました。
Jヴィレッジは1997年に開設された日本サッカー界初のナショナルトレーニングセンターです。しかし震災後、原発事故収束のための中継基地としてその役割を変えました。2018年7月から一部再開しましたが、先月20日にようやく完全復活を遂げました。

実はこの施設にはこのブログを書かせて頂いています私が、学生時代に芸大の先輩でもある彫刻家、藤原吉志子さんのアシスタントとして制作に携わったモニュメントがあります。今回の完全復活のこともあり是非作品を見たいという事で、訪問させて頂きました。

22年ぶりの作品との再会、震災後のJヴィレッジの辿った運命を思うととても感慨深いものでした。
原発事故後、駐車場になってしまったグランドはかつての様に緑の芝が戻り、ピッチを走り回るサッカー少年たちの姿を見て、Jヴィレッジの完全復活を見た気がしました。

国道6号線の帰宅困難地域は以前の姿のままでした。

完全復活したJヴィレッジに到着。
シンボルマークも新しくなりました。

ロビーにあるモニュメント。
藤原吉志子:作『フットボールにあけくれて
/The Days of Football』
1997

メインスタジアムにあるモニュメント。
藤原吉志子:作『フットボール賛歌
/Homage to Football』

1997



1年ぶりのイクサポ での南相馬の旅でした。車窓には未だ震災後と変わらない街の姿と復興に向かう街の姿がありました。今回の旅で改めて現地を訪れること、皮膚感覚で得る情報の大切さを感じました。

今回もお世話になった南相馬中央図書館の菊池さんとスタッフの皆さん、元福島県立博物館、山田神社神主の森先生、この旅をサポートして頂いた現地のご夫婦、農家民宿『翠の里』のお父さんお母さんには感謝で一杯です。
また機会があれば、南相馬を訪ねたいと思います。

(イクサポ メンバー:M.K)        

※イクサポでは、皆様の支援金を高速代金として使わせて頂いています。


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